日々の疲れの修復に
旅館、真実湯(まことゆ)の湯守(ゆもり)をしとります、ゲンといいます。
よく温泉に入ると肌にいいとか、病気が治った、なんて話を聞きますがね。
真実湯に浸かっていかれたお客さんはどうも変わったことをおっしゃるんですよ。
私は長年、お湯と向かい合って、入られたお客さんと話し合って、いろんなお風呂の側面っていうものを見てきたんですよ。
それでは、真実のものがたりをお話ししましょう。
ちょっと体に違和感がある。
そう感じる日々の連続じゃないですか?
なんかだるい、変な感じ…これは病気じゃないですよね。
よって仕事を休む理由にもならないし、病院に行く理由にもなりません。
多くの人が寝れば治ると毎日思っていることでしょう。
病院に行かないと大変なことになるぞ!と言いたいわけではないんです。
今回お話するのは、このちょっとした違和感をちょっと変わった方法で修正しているお客さんがいたもので、紹介します。
どんより気分の梅雨の季節
そのお客さんが真実湯に泊まりに来たのはちょうど梅雨の時期。
観光のお客さんが減る時期なんですが、やっぱり気圧の関係なんでしょうかね。
身体の節々に痛みを抱えるかたが増える時期なんですよ。
ご察しの通り、温泉に浸かってしばらくのんびりして「身体が軽くなったよ」と言って帰っては行くんですがね。
やっぱり毎年痛い痛いと言って泊まりに来るんです。
私は医者じゃないですから、根本的に痛みを取り除くことはできないとはいえ、毎年つらそうな顔を見るのもどこか、晴れない気持ちになる…そんな季節ですよ。
あまり好きではないですね、梅雨は。
そんなどんよりとした真実湯にやってきたのは、隣の県の大工さんです。
冒頭にお話したような、なんだか体の調子がいつもと違う、
元に戻したいということで、4泊の滞在です。
50~60歳くらいでしょうか、大工らしい隆々とした身体つきが印象的でした。
「どーも、お世話になるよ。
ちょっと積み荷を雨にぬれない屋根のある所に移動したいんだけど、いいかい?」
「ようこそいらっしゃいました。荷物のほうはこちらで移動しておきますので、おあがりください。」
「番頭さんが?ん~多分持てないと思うぞ。いいよ、おれやるから」
私とて、毎日風呂掃除してますから、ひょろっとした体格ではないんです。
それを断るとは…ちょっとむっとした気持ちもありつつ、荷物を見に行ってみたんです。
その荷物、人間と同じくらいの長さ、太さの丸太でした。
そんなサイズですから40kgくらいあるでしょうか。
さすがにいくらお客さんの荷物を今まで持ってきて、
ずっと風呂掃除してきたとはいえ持てるものではありませんでしたね。
「いやー、お客さん、これは…」
「はっはっは、さすがに持てないだろ?どこに置いていいの?」
「車庫を使ってください。」
そういうと重そうな丸太を、何のためらいもなくささっと担ぎあげ、車庫のほうへとんとんと歩いていきました。
いやいやいや、体の調子が絶好調じゃなかったら、あんなの持てないだろう。
誰が見てもそう思う光景でしたよ。
「この丸太、何に使うんですか?」
「明日見せてやるよ。やるとき声かけるからさ。」
ちょっとした違和感も見逃さない。プロ精神
翌日、この日もしとしとと雨が降る日でした。
あのお客さんに呼ばれて車庫に行きました。
その手にはカンナ。
この丸太でなにかを作るのかな?
そう思っていると手慣れた感じでカンナを丸太にあてて…
シュワーーーーーー………
まるでレースのカーテンを天井に投げたかの如く、削られた木が宙を舞っています。
矢継ぎ早に木の衣が作られていき、気が付くと丸太にはカンナで削った部分がくぼみになっていました。
思わず拍手をした私は、心のなかで「やはり絶好調…!」
なぜ湯治に来たのかますます理解ができませんでした。
「いやーいいものを見せてもらいました。絶好調じゃないんですか?」
「え?別にいまのは見せようと思ってたことじゃないんだよ。これからだよ。」
そういうとかがんで何か四角い箱を持ち出して、削った丸太に置きました。
これは…水平器ですね。
それを置いて少し落ち着かせると
「ほらな、水平になってねーんだわ。これじゃ若い衆に示しつかんわな。
俺たちはそういう細かいところにこだわり持ってやってるし、
この小さいゆがみがあとあと大事になってくんのよ。
静かな環境で自分の体とちょっと向き合おう、今回はそういう意味で湯治にきてんだ。」
絶好調、そう見た私の目がおかしかったわけではないんです。
ほんのちょっと違和感があるだけで、いたって健康なわけですから。
そのちょっとした違和感が許されない世界で生きているのがこのお客さんなわけです。
そりゃあちょっとした誤差が大事になりますよ。
自身の体調を見つめ直す時間
翌日、翌々日と、同じようにカンナ掛けを見せてもらいました。
朝夕の一日二回、だんだんと誤差が減り、ほぼ水平まで戻っていったのです。
そして最終日の朝、そのカンナ掛けは見事なもので、完璧に水平に削り取り、
木くずの厚みまですべて同じという、職人の神業を見せてもらいました。
「はっはっは、だいぶ戻ってきたな。ありがとよ、番頭さんのおかげだよ。」
「いえ、私は何も。温泉の力が人間の本来持っている力を引き出しただけです。」
「でもその温泉を適温にして湯船をつくってるのはあんただろ?
微妙なさじ加減で、それを毎日毎日やってるわけだろう。
あんただって細かいところが大事な仕事をしているよ。大工仕事には負けるがな。」
「ありがたい言葉です。またちょっとした違和感があるときは来てくださいね。」
「いや、やっぱり今回湯治に来て気が付いた。俺はもう引退だよ。
次来るときは孫を抱きすぎて腰痛になったときだな。」
このお客さんは、調子がよくなったらいいな、という簡単な気持ちで湯治に来ていたわけではないようですな。
大工として今後もやっていけるのか見極める時間、自分の体に問いかける時間がほしかったようです。
温泉に来て体の調子を整える、湯治に来る理由としては普通です。
しかし、人間誰しも終わりがあるわけで、そのタイミングを見抜くのは、つらいことではありますが、
自分と向き合えるこの湯治の時間のひとつの役割なのかもしれません。
まぁともかく!
ちょっとした違和感を感じたら、少し温泉地に滞在してみると、なにか心身共に変化があるかもしれません。
それこそ湯治です。
いつでもお待ちしていますよ。
大工さんが、カンナ掛けを手仕事で作業する風景、とんと見なくなりました。
大工さんの仕事の中にも、機械化がどんどん進んでいるんですね。
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