【小説】真実湯のものがたり~第19湯 スマホゲーム「スナップバトラー」~

今日も賑わう真実湯

旅館、真実湯(まことゆ)の湯守(ゆもり)をしとります、ゲンといいます。
よく温泉に入ると肌にいいとか、病気が治った、なんて話を聞きますがね。
真実湯に浸かっていかれたお客さんはどうも変わったことをおっしゃるんですよ。

私は長年、お湯と向かい合って、入られたお客さんと話し合って、いろんなお風呂の側面っていうものを見てきたんですよ。
それでは、真実のものがたりをお話ししましょう。

「そういえば、そちらの宿はスナポに設定されていますか?」

真実湯のフロント担当者は最近、電話越しのこの質問に頭を悩ませています。

「うーん、存じ上げませんねぇ…申し訳ございません。」

このやりとりが増えてきたのは夏休みと紅葉の間、本来宿が落ち着きを取り戻す時期でした。
問い合わせとともに、例年の倍近いお客さんがいらっしゃったのです。
この状態を受け、社長からこんな資料が真実湯の従業員に配布されました。

温泉需要と時代の流れ

温泉需要と時代の流れ

スナップバトラーの基礎知識

・スナップバトラー(通称スナバト)はスマートフォンのゲームです。
・スナップポイント(スナポ)に利用者が来ると、スマートフォンのGPSで居場所を特定し、利用者がスナポにいることを確認できます。
・スナポではスマートフォンを使ってその景色を撮影すると、コンピュータがいろいろと採点をし、順位付けされます。
・その順位を競って、各地からスナップバトラー利用者が集まってきています。

要はゲームのためにここに来るお客さんが増えているわけですね。

湯治っていうのは病気を治すとか、堅苦しいイメージで捉えられがちですが、普段と違った環境に身を置くっていうことが大事なんです。
目的は人それぞれでいいんです。
とはいうものの、それがゲームなんて。
時代ですなぁ。

資料の末尾には、こんなことが書かれていました。

・宿近くの川、和平川がスナポに設定されているようです。
・歩きスマホ等で、事故やお客さん同士のトラブルが予想されます。
・館内には注意書き等を貼りますが、皆さんも十分に注意してお客さんの様子を見るようにしてください。

スナポを探すときに地図を確認しながら歩くため、車と接触するといった事故が現実に起きているようです。
また、いろいろな角度から撮影されるため、立ち入り禁止のところにはいっての撮影、他人の写りこみなど、人間同士のトラブルも多発しているのだとか。
年寄りの多い宿ですから、この資料を見た私たちはちょっとした不安を抱いていました。

スナバトに慣れてきた頃

そんな心境でスタートを切った本来忙しくない日々。
しかしその不安が嘘のように、何事もなく日々が過ぎていました。
その理由を知ったのは朝晩の冷えを感じるようになった頃です。

「ちょっと和平川に行ってきます」
だんだんこの言葉に従業員も慣れてきたときのこと。
私はちょうど使いで和平川の橋を渡っていました。

川岸の芝生に目をやると女性二人組が川上に向かって写真を撮っている様子。
真実湯のお客さんとわかったので、話を聞いてみることにしました。

「こんにちは。スナバトですか?」

「はい、写真撮りに来ました。ここはかなり空いてますね。
高順位を撮るには穴場かもしれないですね!」

「え?穴場なんですか?」

「賑わうところは写真撮れないくらい混んでます。土日さんはもっと混むんでしょ?」

いまは平日の昼過ぎ、泊まりのお客さんはお帰りになり、今日宿泊のお客さんはまだ到着していない時間ではあります。

ただ、和平川は休日の昼間でもせいぜい15人ほどです。
もちろん、川は長いですから別のところにいるのかもしれませんがね。

「あ!ここmitsukiさんのポイントじゃん!だからかぁ~」

「mitsukiさん…どなたです?」

「いろんなところでランキング1位を取っているスナバトのカリスマですよ。
2567ポイントかぁ…こんな得点出せないよ…」

「ちょっとその写真見せてもらえませんか」

その写真は夜、満月の逆光で夜空に橋が黒々と浮かび上がり、川の流れが幻想的に月光を反射させている写真でした。

これがスマートフォンで撮れる写真か!?
技術の進歩に驚いた直後に気づきました。

「この写真、川に入らないと撮れないですよね。
しかも満月の日は狙えてもこんなに綺麗に顔を出してくれる確証もないし…」

「期間限定とか、撮影の条件が難しいと得点が高いんです」

「こりゃ無理だね、車で少し行ったところのスナポ行こうよ」

「そうだね、じゃあ私達行きますね」

スナバト人気の裏側で

スナバトはうまくできているもので、スナポに来ないとランキングを知ることはできないのだそう。
和平川にバトラーが少ないのはランキングを見て場所を変える人が続出しているからなんですね。

いやーそれにしてもmitsukiさんの写真は見事でした。
他の写真も見てみようと、事務所のパソコンを使って調べてみました。
するとmitsukiさんのブログが出てきたんです。

美しい写真がたくさんと思っていた私は驚きました。
ブログにはスナポに捨てられたゴミや、住民が迷惑しているという旨の張り紙など、美しい要素なんてないのです。
マナー喚起をただただ叫んでいます。

mitsukiさんは、ダントツの1位を取ることでスナポ、つまり景勝地を守っていたんです。
なにもトラブルなく続いた日々は、一部のバトラーによって与えられたものだったんですね。

ネットの世界でいつの間にか注目を集める。
それは私たちのような昔の人間にはなかなかついていけないものです。

その世界のなかで現実を守ろうと動いている人がいる。
きっと私の知らないところで温泉や湯治文化を守ってくれている人がいるんでしょうなぁ。

きっかけは人それぞれ。
真実湯は変わらず今日も営業を続けています。

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