【小説】真実湯のものがたり~第7湯 禊(みそぎ)のロッカー~

年に一度の交流を

旅館、真実湯(まことゆ)の湯守(ゆもり)をしとります、ゲンといいます。
よく温泉に入ると肌にいいとか、病気が治った、なんて話を聞きますがね。
真実湯に浸かっていかれたお客さんはどうも変わったことをおっしゃるんですよ。

私は長年、お湯と向かい合って、入られたお客さんと話し合って、いろんなお風呂の側面っていうものを見てきたんですよ。

真実湯は湯治場由来の温泉地です。

夏の時期は二週間や三週間は宿に滞在して、たまに親戚のかたを呼んだりしてね。
夜は他の宿泊されてるお客さんと食堂で酒を飲んだり…
思い出すだけでも賑やかで、懐かしく感じてしまいますね。
今回は、そんな湯治滞在で生まれた絆を強くつなぎ合わせる、ある設備のお話をしたいと思います。

私が若いころは冒頭にお話したような湯治目的のお客さんはたくさんいらして、真実湯には湯治客専用の貸しロッカーがあったんです。

そのロッカーっていうのは滞在中に使うものではなく、家に帰っている間、湯治滞在中に使うものをしまっておくんですな。
食器、調理器具、趣味の品が多いようです。
滞在中に絵を書く人は画材を置いていきますし、衣類を置いていく人もいましたね。

湯治で生まれる信頼関係

湯治のお客さんは年に何回もいらっしゃるわけではないですから、1年を通してほぼ鍵はしまっているわけです。
宿に来なくなったらどうするの?と聞かれることは多々ありますが、そんなことを考える必要もなく、みなさん決まった時期に話を合わせたかのようにいらっしゃったものです。

当然悲しいですが、亡くなってしまうかたもいらっしゃいます。
そんな時は親族のかたからご連絡をきちんといただけましたよ。
そのときはロッカーにある物はお送りしますね。

このロッカーは本来そういう目的で作られたものなんですが、お客さんの使い方は少し違っていましたね。

みなさん同じ時期に湯治に来る顔なじみなもんで、その時期に来てないお客さんがいると心配するんですよ。
病気でもしたんじゃないか、体調を崩したんじゃないか…ってね。
来ていない人に自分たちの無事、いや、健康ですね。それを知らせるために

来ていないかたのロッカーに「今年も来ましたよ」と手紙を入れていくんです。
いかにも湯治場らしい雰囲気をつくるのに、大きな役割を担っていた設備なんです。

ロッカーに残した「想い」

しかし時代は変わって、荷物を預けるほど長期滞在することもなくなり、重いものを持ってくる必要もなくなり、車も普及していって…
自然とロッカーが使われることはなくなっていました。
残念ではありますが、取り壊すことになりまして。

所在のわかるお客さんには荷物の引き取りをお願いし、多くのお客さんが引き取りに来てくれました。
そんななかで一際手紙が入っていたロッカーがあったんです。

引き取りのお願いをしましたが、取り壊しまでにいらっしゃることがありませんでしたので、こちらでロッカーを開けることにしたんです。

ロッカーのなかには、手紙というには味気ない紙に文字が書いてありました。
そこにはどうやら、自分への戒めや反省が書いてあるようでした。

「娘の運動会に出られなかった」「仕事で部下への態度がよくなかった」
「取引先のかたに失礼なことを言ってしまった」…
そんな内容ばかりで、本当に真面目なかたがこのロッカーを使っていたんだなと伝わってきましたよ。

この文章を読んで、私にはお客さんの顔が浮かんできていました。
かなりの長湯をされるかただったんです。
この手紙を見て湯船に浸かって何をされていたのか、わかりました。

このかたは「禊(みそぎ)」をおこなっていたのでしょう。
ご存知ですかね?
体をきれいにすることで心身の穢れを落とすというものです。
これが入浴のルーツとも言われていますね。
わかりやすいたとえといえば、「滝打ち」ですかね。
心を清めることに重点があります。

温泉で身体も心も綺麗になって

滞在中に嫌な思い出を振り返って手紙に書いて、入浴中にその思い出を詳しく分析して心に整理をつけて。

最後は手紙に書いたものを宿に置いていくことで、新しい気持ちで日常に帰っていく。
温泉滞在にそんな役割を持たせていたんでしょうな。

湯治といえば体の調子を整えるものという認識が強いですが、意識することで心の調子を整えることもできる。
そんな湯治を実践されていたかたなんでしょう。
このように自分なりに入浴を解釈して人生を豊かにしてくれているのは、やはりうれしいですよ。

このお客さんにとって、ロッカーに入れた手紙はもういらないものなのかもしれません。
しかし私にとっては宝ですね。

湯治にかたちなんてありませんから、
みなさんも自分なりに自分が豊かになれる湯治を探してみてください。

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