【小説】真実湯のものがたり~第14湯 混浴の極意~

今と昔の混浴の意味の違い

旅館、真実湯(まことゆ)の湯守(ゆもり)をしとります、ゲンといいます。
よく温泉に入ると肌にいいとか、病気が治った、なんて話を聞きますがね。
真実湯に浸かっていかれたお客さんはどうも変わったことをおっしゃるんですよ。

私は長年、お湯と向かい合って、入られたお客さんと話し合って、いろんなお風呂の側面っていうものを見てきたんですよ。

真実湯には混浴の湯船があります。
昔はそれが当たりまえで、湯治のお客さん同士老若男女がお風呂を楽しんでいたものです。

いまでは抵抗のある女性のお客さんがいらっしゃるだけでなく、男性のお客さんもどうしていたらいいのかわからない、なんて声を聞いたりもしますよ。
プライベート…っていうんですかね。
そういうものが叫ばれるようになってから混浴がぎこちないものになったような気がしています。

今回お話するのは、春休みを利用して真実湯に泊まりに来た学生さんのお話です。
どうやら彼らは混浴という言葉にひかれて真実湯を選んだようなんです。

若い者にとっての混浴

真実湯は人里離れた山深いところにある温泉旅館です。
若い人から人気の旅館ではありませんが、夏休み、春休みは学生さんの合宿なんかで若い方はたくさんいらっしゃいます。
そんななかで昔から混浴の浴室が真実湯にはあって、若い方が多くても何か問題があったという話をきくことはいままでありませんでしたね。

その日は少しずつ雪が解け出し、春らしくなってきた3月末のことでした。
3人組の大学生の男の子がやってきたんです。

やけに軽装備なもんで、なにか目的があるということではなく、仲良しの3人組で大学生活の思い出をつくりたい、そんな目的があるのかな、なんて思いました。

「ようこそお越しくださいました。こんな山奥までの旅行でお疲れでしょう。お部屋にご案内しますよ」

「ありがとうございます!」

ハキハキと返事をしてくれて、感じのいいお客さんでした。
外の雪に太陽の光が反射して、部屋までの廊下をいつもより白く照らします。
彼らの新生活もまだ真っ白、これからどんな人生を歩んでいくのか……

「番頭さん、ここって混浴なんですよね?」

「え?あ、はい、混浴の浴室もございますよ。」

「そうなんですか、初めてだから、女の人と会ったらどんな顔したらいいのかなーとか思ったりして。」

……どうやら混浴という言葉にひかれて真実湯を選んだようで。
まあまっとうな男子、ということでいいんでしょうな。

「混浴だからといって身構える必要はないですよ。普通に入ればいいんです。」

「そりゃそうなんですけど……ねぇ?」

「気になるようでしたら男女別の浴室もありますから、そちらを使ってください。」

「いや、せっかくここまで来ましたから、挑戦しますよ。」

「……まぁ、身構えずに入ってくださいね。」

そう伝え、私は帳場に戻っていきました。
すると早速、夕食前にお風呂に入りに向かったようです。
混浴の意味を知るためにはちょうどいいタイミングだなぁと、私は少しにこにこしてしまいましたよ。

彼らが見た混浴とは

15分ほどして、浴室の様子を見に行ってみました。
大学生3人組は脱衣場を出てすぐの湯船にへりに座っていました。
口数も少なく、どこかしょんぼりしていましたね。

彼らの向かい側には老夫婦が二人、湯船に浸かっていました。
君らが思っていたような若い子はいないよ!そんなことが言いたいのではありません。
椅子や桶の配置を直しながら、私は彼らに話しかけました。

「どうですか、混浴は。」

「夫婦で入れるっていいですね。」

「このあと混浴の本質的なところが見られますから、ゆっくり入っていってくださいね。みなさんラッキーですよ。」

そう伝えると私は浴室をあとにしました。
みなさんはこのあと彼らが見た混浴の大事な光景、なんだかわかりますか?

本来の混浴とは

「いかがでしたか、あれが真実湯の混浴ですよ。」

「介助が必要な夫婦が一緒に入れるってことですよね。歴史のある温泉場の雰囲気を感じられました。」

「でもそれって、貸切風呂でもいいんじゃないですか?」

貸切風呂……真実湯でも少し前から新しくつくりました。
これもプライベートという言葉が浸透してからできたもののように思います。
さらっとこの言葉を使う若いかたにどこか馴染めないのは私の頭が固いからなんでしょうな。

「そうですね、確かに二人で入る分には貸切風呂で十分だと思います。
逆に言うと、二人しか入れないので、二人とも何かあったときに対応が遅くなるんです。
混浴だと他のお客さんも入りますよね。すぐに気が付けるんですよ。」

「なるほどー、安全のための混浴なんですね。」
「おれら、浅はかだった……」
「そうだな。」

入浴していた老夫婦は、奥様が術後療養の湯治ということで長期滞在されているお客さんだったんです。
長期間病床に伏せていらっしゃったようで一人の歩行が難しく、ご主人が介助をして入浴していたわけですね。

彼らはあの夫婦が湯船から出ていく姿をみたはずです。
それが混浴の本来の姿だと、私は思います。

心も体も癒せる温泉に

最近、混浴という文化が消えて行っています。
私が思うに、それはマナーの問題もあるのかもしれませんが、病気をした後、体が不自由になった後に「人からの目に触れる」ことが「嫌」「恥ずかしい」という気持ちがあるように思います。

湯治場ではそういう目で見られることはありませんよ。
みなさん体を癒すことが目的なんです。
そして体を癒すことは温泉に浸かることだけではありません。
友達になったお客さん同士で話したり、体にいいものを食べたりすることも重要です。

孤独だとよくなるものもよくならないですよ。
温泉滞在という療養も考えられるような時代になったらいいですね。

いやぁ~、温泉って本当に良いですね。
お湯に浸かって幸せな気分になるのは、全人類共通のもの。と私は、思っています。
福沢諭吉先生もおっしゃっています。

湯は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず
日本の温泉に入って、世界平和を目指そう!

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