【小説】真実湯のものがたり~第5湯 三代の産湯~

あなたの思い出の湯はありますか?

旅館、真実湯(まことゆ)の湯守(ゆもり)をしとります、ゲンといいます。
よく温泉に入ると肌にいいとか、病気が治った、なんて話を聞きますがね。
真実湯に浸かっていかれたお客さんはどうも変わったことをおっしゃるんですよ。

よく美肌の湯なんて謳い文句の温泉を見かける時代になりましたなぁ。
この美肌っていうのは人間、はたまた生き物に限られたものなんですかね。

私は長年、お湯と向かい合って、入られたお客さんと話し合って、いろんなお風呂の側面っていうものを見てきたんですよ。

産湯という言葉はご存知でしょうか。
赤ん坊が最初に入るお風呂のことです。

本来は出産した直後に入るお湯のことを指すようですが、我々温泉業界の人間にとって、赤ん坊が初めて入る温泉という感覚で使われている印象がありますな。

私みたいにね、毎日温泉に触れている人間にとっちゃあ、体温調節の機能が完全でない赤ん坊を温泉に浸からせるのは、親の自己満足なのかなぁ。
なんて思いもありますよ。
正直ね。
そういう考えをあらためさせられたお客さんのことを今日はお話ししますね。

懐かしい後ろ姿を見ながら

そのお客さんは三代にわたってうちを産湯として、子供が生まれると連れて来てくれる方でね。
おじいさんは私と同い年で、息子さんを産湯にって泊まりに来たのは覚えていますよ。
あんなに小さかった息子さんに子供ができて、また来てくれるなんて湯守としては嬉しい限りです。

「どーも、ご来館ありがとうございます。」
「ゲンさん、久しぶりだね。今日は孫の産湯を頼むよ。」

そういうと後ろにいた息子さんと奥さん、抱かれたお孫さんを紹介してくれました。

「じゃ、個室の浴室のほう、ぬるめに仕込んできますね。」

お部屋に向かう背中を見送ってから個室の浴室を子供さん向けにぬるめにお湯張りをして、滑ることがないように念入りに床を磨いておきました。

温泉っていうのは正直なもんでね。
お風呂をつくる人間の気持ちや感情を汲み取ってくれるもんなんです。
今回も澄み切った、まだ何にも染まっていないような、産湯にふさわしいお風呂に仕上がったなぁと、納得のいく出来だったのを覚えています。

お部屋にお湯張りが終わったことをお伝えに行きました。

「よし、行くぞ。カズ。」
「まだ抱っこも慣れてないのに、お風呂危ないって。」
「お前何のためにここに来たんだよ!せっかくゲンさんがマサシのために風呂つくってくれたんだぞ!」
「わかってるよ!行くから…!」

自信がなさそうなお父さん。
私は思わず笑いそうになりましたよ。

「君が産湯に入った時、お父さんも同じようなこと言ってたぞ」
「ははは、そうでしたか。そういうのを感じさせないところ、すごく親父らしいですよ。なにかあったら呼びますね。」

息子さんを連れて3人で浴室にむかって歩いていきました。

その背中を見ているとなんだか、息子さんの産湯のときの光景がどんどん鮮明になってきました。
背中がそっくりなのと、真実湯の建物が当時とほとんど変わらないからでしょうな。

産湯の本当の想い

夕食をとりおえた頃。
ロビーでくつろいでるお客さんと会ったので、産湯の感想をうかがいました。

「どうでしたか?お孫さん、喜びましたかね?」
「いやぁー泣いて泣いて。そりゃあ生まれて初めて入るお湯だからびっくりもするわな。」

思い切ってかねてからの疑問を聞いてみました。

「赤ちゃんが泣いてまで入る産湯にはどんな意味があるとお考えですか?」

少し黙ってから、教えてくれました。

「ゲンさん、おれはね、代々生まれた子供を温泉に入らせてあげたいと思ってここに来てるわけじゃないんだよ。親子三代が、『生まれて最初の温泉は真実湯』っていうつながりっていうのかな、所在っていうのかな。そういう存在があることが大事なんだよ。」

存在、つながり、所在。
要は「自分の居場所」ということなのでしょう。
三代続けて同じ産湯に浸かることで、自分がわからなくなったとき、迷ったときに「家族」という居場所を真実湯で感じてもらいたい。
そういうことなんでしょうな。

「いまはさ、人間って孤独なもんだから、そういうところで帰属意識というか、自分の存在っていうものを実感してほしいんだよ。」
「…そこまでの意味を温泉に見つけてくれて、本当に嬉しく思いますよ。お孫さんに子供が生まれたときは、私も産湯に立ち会わせてくださいよ!」
「そうだねぇー、ずっとゲンさんが張った湯船に使ってるわけだからね、ダメとは言えんわな。はっはっは!」

いやー、立派な考え方ですよ。
単純に入浴するだけがお風呂ではないんです。
代々産湯としてはいることで、温泉に親子のつながり、子供に帰るところ、原点を与えることで居場所をがあることを感じさせる。こんなお風呂のありかたもあるんだなぁと、この年齢になって教えられた気がしますよ。

きっと真実湯に限らず、常宿をもつ多くの人がこの感覚をもっていつも泊まりに来てくださってるんでしょう。

私たちのようにいつもお湯に触れ続けていると、お湯というものにお湯以上の価値がわからなくなる。
こういったお客さんが持つ温泉への価値観をいただくことは本当に勉強になりますよ。

みなさんにはこういった帰るべき場所はありますか?
思い浮かばないかたは一度、真実湯に遊びに来てください。

困った時に帰って来られる場所として、私はお湯を守り続けますよ。

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