温泉旅館の活用方法
旅館、真実湯(まことゆ)の湯守(ゆもり)をしとります、ゲンといいます。
よく温泉に入ると肌にいいとか、病気が治った、なんて話を聞きますがね。
真実湯に浸かっていかれたお客さんはどうも変わったことをおっしゃるんですよ。
私は長年、お湯と向かい合って、入られたお客さんと話し合って、いろんなお風呂の側面っていうものを見てきたんですよ。
湯守の仕事は温泉を維持管理することだけではなくてですね、当然それに付随する脱衣場の掃除なんかも担当しております。
浴室の入口に敷いてある足ふきマットは一日に4回は取り替えます。
そんなに余分があるわけでもないんでね、まめに洗濯をしています。
洗濯した足ふきマットは、真実湯には広めの庭がありまして、そこに干しています。
外に出るのが心地よく、熱くもなく寒くもない時期に洗濯物を干しにくると、常連のお客さんが庭で日光浴をしているんです。
「トミさん、こんにちは。」
「ああ、ゲンさんね、どーも。お邪魔してるよ。」
この挨拶も毎度のことになりました。
トミさんは真実湯滞在中、大半を庭で過ごしています。
変わったかたですよねぇ。
私としても、洗濯物干したり、従業員が駐輪したりしてるような場所なもんで、ここにお客さんがいるっていうのはどうなのかな…なんて最初は思っていましたよ。
でもトミさんがここを使う理由を聞くと、それも湯治のひとつのかたちだなと、温泉入浴というものを考えさせられるものだったんです。
少し変わったご注文を
初めてトミさんが真実湯にいらしたのは6~7年前のこと。
農家のかたで、仕事柄、足腰の痛みを感じていたところ、お友達から真実湯の話を聞いたんだとか。
元気なおばあちゃんで、ハッキリとした受け答えをされるかたですよ。
初日、宿に着いてすぐにこんなことを聞かれました。
「ねえねえ番頭さん、日に当たれるところないかしらね?」
長年ここに勤めていますが、この質問は初めてで、数秒頭がぐるぐるしてしまいました。
「日…日光ですよね。」
「そうだよ。日光。」
「そうですねぇ…ちょっと散らかってますが、庭を使ってください。ご案内しましょう。」
「あ、ちょっと待ってね、荷物持ってくるから。」
そういうとトミさんはチャキチャキした動きで部屋に向かい、一人が横になれるサイズのゴザとタオルケット、ちょっとしたおやつとペットボトルのお茶をもって戻ってきました。
「あの…庭で寝るんですか。」
「そうだよ。」
「…さようですか。」
さようですか、以外に言葉が出ませんでした。
もちろん日光浴がいけないことではないんですが、よほどびっくりしていたんですな。
庭に案内すると早速ゴザを敷いて横になり、すぐに目を閉じました。
置いてきぼりになった感じがしたので…すぐに私は戻りました。
トミさんはこのあと10日ほどお泊まりになりました。
10日間のうち、日が出ている時間の半分以上は、庭で横になって過ごしていたんです。
日光浴の本当の意味は
トミさんにとってこの日光浴にどんな意味があるのか、どうしても気になったので最終日に聞いてみました。
「トミさん、温泉に来て日光浴をする意味ってなんでしょうね。」
「意味ね…ゲンさんはさ、毎日庭に来て洗濯物を干してたわよね。それとおんなじよ。」
「乾燥してるんですか。」
「そうだよ。乾燥。乾燥というより、天日干し。」
まだ私はつかめません。
温泉に入ったらタオルで拭いて乾いてるよなぁ…自分を干物にでもしようとしてるのだろうか…
「あたしはさ、温泉にはいって命を洗濯してるんだよ。
洗濯した命はさっと乾かさないと、菌が繁殖しちゃうでしょうよ。
パリッと乾かすには天日干しが一番。ここは空気がきれいだし、ちょうどいいあったかさだからさ、
この環境で乾かすから命がきちんと天日干ししできる気がするのよ。ほんとに素敵なところよね。」
トミさんにとって、温泉に入ることは命の洗濯という感覚があるようです。
その意味合いは多くのかたが認識としてはあるでしょう。
しかし実際に湯治を、そのように意味づけて滞在されるかたは初めてでした。
そしてその上をいく「命の天日干し」。
きっとあたたまった体をすこしづつ常温に戻すその時間を大切にされているのだと思います。
こうしてトミさんは毎年この時期に真実湯を訪れ、他の従業員も庭で寝ているトミさんを見て秋の始まり、夏の終わりを感じるほどになりました。
時間が経ってもトミさんは変わらずチャキチャキ、はっきりした様子は変わらず、ずっと元気ですよ。
歳を聞くような野暮なことはしませんが、健康の秘訣は日光浴で間違いないでしょうな。
みなさんも庭で寝てみてはいかがでしょう、なんてことはいいませんよ。
でも湯上りの時間をゆったりと、自分の体温の変化を感じながら、
太陽をのんびり浴びながら過ごしてみるのも、きっと普段と違う時間の流れを感じられるはずです。
命の洗濯がもたらすもの…それはどうかわかりませんが、
トミさんの人生を豊かなものにしていることは間違いなさそうです。
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